イギリスとアンティークその他

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「IBM 奇跡の”ワトソン”プロジェクト」という本

「IBM 奇跡の”ワトソン”プロジェクト」(スティーヴン・
ベイカー著)という本を読みました。

IBM 社が、人工知能に関する技術を駆使した質問応答システム
(ワトソン)を開発し、アメリカのテレビの「ジョパディ」という
人気クイズ番組に出場させ、人間のチャンピオンと、2011 年 2 月
16 日に実際に戦わせるまでの話です。

この本の日本語訳は、正確で簡潔にして、わかりやすく、脳細胞を
駆使させられる、知的な読み物ではありますが、読み応えがあって
楽しめます。

コンピューターや人工知能に興味がある人、アメリカやクイズ番組が
好きな人、IBM という企業に興味がある人には、ぜひ買って読んでみる
ことをお勧めしたい良書です。

「ワトソン」とは、IBM 社の創立者の名前であるだけでなく、名探偵
シャーロック・ホームズの相棒であるワトソン博士にも通じている
というのは、ちょっと意外でしたが、親近感が湧きました。

「ジョパディ」というクイズ番組で優勝するには、ありとあらゆる分野の
知識、自信の度合いに基づいて賭け金を増減させるゲーム戦略、瞬時の
判断力と決断力、冷静さ、ブザー勘(早すぎず、遅すぎず)など、
いろんな能力が必要とされるようです。「ジョパディ」のルールや
形式については、40 ~ 43ページあたりと 336 ~ 337 ページを読むと
わかるようになっています。

テレビのクイズ番組などに出すために、多くの費用をかけて開発することには
当初は IBM 社内で反論もあったようですが、「IBM には、自然言語での
質問に応答できるマシンを開発する技術がある」ということを示せれば、
ブランドの価値の向上につながるのでしょう。そのあたりの経緯についても
触れられています。

人工知能については、懐疑論者もいて、「いま何時かワトソンに
聞いてみな。絶対答えられんから。」とメールに書いたコンピューター
科学者がいた、という話には、(当事者には叱られるかもしれない
けれど)笑ってしまいました。ワトソンがどういうものかをよく
知っているからこそ書ける高尚な皮肉でしょうが、ユーモアを
感じさせられます。

人工知能の懐疑論者の、「ワトソンは低能すぎ、無知すぎ、
有名すぎ、金満すぎ」という主張は、手厳しいけれど面白い。

開発の途中で、品のない言葉で答えることのないように改良する必要が
でてくる話とか、人間と同じように(ブザーを押すための)親指を
つけろという注文がでて対応に追われる話とか、読者にとっては面白い
(開発担当の研究者にとっては大変だったであろう)エピソードも沢山
盛り込まれています。

実際に人間のチャンピオンと対戦する、最後のクライマックスの場面
では、著者の詳細で巧みな解説と読みやすい日本語訳のおかげで、
気分が高揚して、いつしか感情移入していたワトソンを応援しながら、
感動のあまり涙を流してしまいました。

最後に、プレッシャーやストレスを感じながらワトソンを開発したであろう
研究者たち、この本を書いた著者(ジャーナリスト)、翻訳者、そして
この本を日本で出版した出版社(早川書房)に拍手、拍手、拍手!



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